相続相談事例:認知症の親が所有している不動産の売却

札幌の相続ふれあいサロンの司法書士行政書士・成田浩史です。

 本日、「母が認知症気味だが母名義の不動産を売却できるだろうか?」とのご相談を受けました。最近この種のご相談が非常に増えてきています。結論としては御母堂様が認知症という状況では御母堂様の「不動産を売る」という意思確認が困難であるため、売却はかなり難しいのが実情といえます。ただこのような状況でも家庭裁判所から御母堂様に成年後見人を選任してもらえば売却は可能です。つまり成年後見人が御母堂様の代理人として売却するという形になるのです。

 ただ、成年後見人を選任してもらうには成年後見申立書類を作成・提出しなければならない上に最終的に成年後見申立の審判が確定するまでには1~2か月程度はかかります。当然そこには申立て費用等も発生するため時間的・金銭的にそれなりの労力が必要になります。

 このような点を鑑みると、特に売却を急ぐ理由がなければ御母堂様のご年齢にもよりますが、いずれ相続が発生する時まで静観するのも一つの考え方だと思います。相続発生時にその相続人の皆様で話し合い(遺産分割協議)、売却するのも無理のない方法といえます。