旧民法の「家督相続」と「遺産相続」

札幌の相続ふれあいサロンの司法書士行政書士・成田浩史です 。

 先日完了したおよそ110年間全く名義変更がされていなかった不動産の相続手続が完了いたしました。当然何代にもわたる相続関係だったのですが、最初の相続が発生したのは昭和一桁の年でした。

 ただそうなるとこの最初の相続に関しては昭和23年に施行開始した現在の民法ではなくいわゆる「旧民法(明治31年民法)」が適用されます。

 この旧民法での相続制度では戸主権という身分権と家の財産をともに承継する「家督相続」と、家族(戸主以外の同籍者)の遺産を承継する「遺産相続」の2つに分かれていました。そのため我々が法務局に提出する申請書類にも相続原因としてこれらの区別を記載しなければなりません。

 私も当初はこの事を失念していたのですが、本件の手続準備を進めていくなかでようやくこの点に気付き丁寧に確認したことを覚えています。それにしてもとりわけ「家督相続」という表記には昔の日本の家族制度の匂いを色濃く感じます。