外国人の方の公正証書遺言

札幌の相続ふれあいサロンの司法書士行政書士・成田浩史です 。

 先日香港人のお客様から公正証書遺言作成のご依頼がありました。北海道所在の不動産を日本に在住しているご子息とその奥様そしてお孫さんに譲る旨の内容にしたいとのこと。また10月中旬に一旦香港に帰国するご予定とのことで急ぎ取り掛かることに。

 さて外国人が遺言書を作成する場合は必要となる書類が日本人とは異なります。まず香港には印鑑証明書が存在しないため、それに代わるご本人の身元を証明する書類として本国領事館や公証役場で発行される「宣誓供述書」が必要になります。この供述書はご本人の住所や本籍・ご本人の署名等に関する証明書の役割を果たします。また遺言者様と子の関係性を証明する書類としては、香港には日本のような戸籍が存在しないため、自国の公的機関が発行するお子様の出生証明書が必要でした。その他にはパスポートや香港の永久市民カード(日本のマイナンバーカードに近いものです)のコピーを遺言者様の身分証明書として提出します。

 また外国人の遺言書の場合、公証役場から証人2名だけではなく通訳者の指定も要求されます。そのため本件では私が通訳者になることにしました。(当初は私が通訳者と証人1名も兼ねるつもりでいたのですが、公証人法で通訳と証人の兼任は禁止されているとのこと)。

 加えて上述の宣誓供述書等の書類そして公正証書遺言本文についても全て英訳した書類の提出が求められます。そのためこれらの書類を急ぎ英訳して公証役場に提出する一方で遺言者様にも英訳した遺言書に事前に目を通して頂き、公証役場での遺言書確定当日に備えて頂くことにしました。

 そのため公証当日は手続を恙なく完了することができ、私自身もホっとしております。色々と緊張する部分がありましたが良い経験をさせて頂きました。